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走れオタク 参

manegoto

「大丈夫ですか?」
 不意に頭上から声がふってきた.ムロトはそっと頭をもたげ,目を開けて息を呑んだ.サトウの未来の花嫁にして,今をときめく人気声優が心配そうにムロトの顔を覗き込んでいた.ムロトは跳ね起きて素早く距離をとった.もちろん,抱き枕カバーを収めた額で体を隠すのも忘れなかった.キャラクターが声優から見えないように取計らったことは言うまでもない.
「あの,その,じ,実は大変な深酒をしてしまいまして,目が覚めたらこの様でして」ムロトは必死でそれらしい言い訳,被覆面積が著しく減少した黒タイツ一丁で路地に寝転がっていたことを正当化する言い訳を考えた.酔っ払いの生態として,脱ぎ上戸というのは比較的ポピュラーなはずだ.よし,これで押しきろう.
「こ,転んでだいぶ破いてしまいましたが幸い傷はたいしたことないみたいですし,ま,まあ多分服は家の中に脱いできただけだと思いますので,お気になさらず」路地に面した民家のうちのひとつを適当に指差して,ムロトは言った.脱いできた「だけ」てなんやねん,お気になさらず言われても気にするがな,ムロトは己の発言に心中でツッコんだ.大事な事なので久方ぶりに繰り返すが,ムロトにはツッコミをいれてくれる家族も友人も無い.そのため,ノリツッコミの技術を人一倍養わざるをえなかったのである.もっとも,ノリツッコミが成功するのは,ムロトの頭が比較的冴えているときだけであった.
「そうですか.お酒はほどほどにしないといけませんね」声優は腕組みをして,うんうんと頷いた.「身体に障りますよ」
 声優の声は優しかった.被覆面積が著しく減少した黒タイツ一丁で路地に寝転がっていたことを正当化する言い訳としては,悪くなかったらしい.ムロトはやや落ち着きを取り戻した.
「そういえば,さっきコンビニで買ったスポーツドリンクがあるんですよ.お酒をたくさん飲まれたなら,水分をちゃんと摂らないと」声優はカバンを探ると,ペットボトルを差し出した.「どうぞ.まだ口をつけてないですから」
 いやむしろ口をつけている方がありがたいですけどね,などという下衆な冗談が心中をよぎったが,ムロトは自重した.そして,下衆な冗談を思いつき,またそれを自重できる程度に己が平静を取り戻していることに気がついた.声優はペットボトルをムロトに渡すと,再び腕組みをして微笑んだ.
 しかしこの人は聖女か,聖女なのか?ペットボトルを受け取りながらムロトは考えた.いや聖女というか,脇が甘すぎるのではないか.黒タイツ一丁で人気のない路地に寝転がっている男に声をかけて事情を聞き,挙動不審な男のいくらか無理のある説明を信じて気遣い,あげくスポーツドリンクを渡すなど,無防備にもほどがある.そんな男は放っておくのが道理であるし,どうしても気になるなら一一〇番なり一一九番なりすればいいことだ.むしろ阿呆か,阿呆なのか?ムロトはペットボトルのキャップに手をかけながら,改めて声優の方を見た.
 よく見ると,その腕組みはかたすぎた.必死で何かに耐えているかのようだ.と,目線を落としたムロトは,声優の足がかすかに震えていることに気づき,悟った.この人は,必死で恐怖に耐えながら,俺のことを気遣ってくれているのだ.何が阿呆だ,阿呆なのは俺ばかりだ.ムロトは涙がこぼれないように上を向き,スポーツドリンクを呷った.水分と糖分と若干のミネラルが疲れ切った身体に染み渡り,ムロトは身体中に力が湧いてくるのを感じた.
 連れのいない若い女性が,黒タイツ一丁で人気のない路地に寝転がっている男に声をかけることに,恐怖を感じないわけがない.しかし,いきなり一一〇番や一一九番をすれば大事になってしまい,黒タイツ一丁でいる男がきまり悪い思いをするかもしれない.彼女は考えたのだろう.とりあえず事情を聞いてみると,深酒をしたとの説明をうけた.大きな矛盾のない受け答えができる程度に意識ははっきりしているものの,黒タイツ一丁になってしまうほどに泥酔したわけであるから,脱水症状をおこしている可能性が高い.重い脱水症状は血圧を上昇させ,内臓や脳血管に深刻なダメージを与えうる.スポーツドリンクを与えて様子をみよう.そんなところだろうか.ムロトは,彼女が声優であり,かつ看護師免許保持者であることを思い出した.オタクは,声優の,キャラクターボイスでない方のCVにも詳しい.
「ありがとうございます.だいぶ楽になりました」ムロトは丁寧に礼を言った.それを聞いて,声優の緊張は少し和らいだようだった.
「旅行で,というか,実は結婚式の下見の関係でこちらに来ているのですが,花婿どのが急用とかでずいぶん待たされてて」声優はうつむいて,悲しそうに言った.誰かに言わずにはいられないという様子だった.たとえ,それが黒タイツ一丁で人気のない路地に寝転がっていた男であったとしても.「なんでも,トラブルに巻き込まれた友人に付き合ってるとかで.でも,花嫁をこんな時間まで待たせるなんて,ちょっとひどいですよね」
 ムロトは何か気のきいたことを言おうとしたが,うまく言えなかった.だいたい,自分のせいで当の花婿どのは今まさに破滅しようとしていて,そのままいけば結婚がどうなるかもわからないのだ.ちょっと気のきいたことを言ったところでどうにもならぬ.空はいよいよ紅く染まり,日没はすぐそこに迫っていた.
「彼と,このまま結婚しちゃっていいのかな」声優はそう呟いて弱々しく笑ったが,思わず口をついて出た自分の言葉に焦った様子で,あわてて付け加えた.「なーんて,思っちゃったりして」
 聞いて,ムロトは決意した.呆れた可憐さだ.勇気があって,優しくて,可憐で.この人こそ,あの度量の大きいリア充に相応しい.必ず,定刻までにこの荷物を届けよう.俺が,この人とあのリア充の仲を引き裂くようなことがあってはならぬ.断じて,ならぬ.ムロトは膝に力をこめて立ち上がり,荷物を脇に抱えた.足も手も,まだ動く.行こう.
 サトウは,こんな俺のために人質になってくれた.声優は,こんな俺のことを気遣ってくれた.彼らは,俺のことを信じてくれた.それなのに,俺は己の弱さの前に膝を折り,すべてを投げ出そうとしていた.ムロトは己の胸にこみ上げる熱いものを感じた.そういえば,あれは友情と信頼の物語であるとともに,克己の物語でもあったな.ムロトは目を閉じ,ゆっくりと深呼吸した.
「ちょっと用事を思い出したので,失礼します」目を開き,まっすぐに声優を見て,ムロトは言った.声優は急に立ち上がったムロトを見て,怯えるとまではいかないものの,かなり驚いた様子だった.「本当にありがとうございました」ムロトは深々と頭を下げた.
 踵を返してそのまま立ち去ろうとするムロトの背中に,声優は声をかけた.「あ,でも,その,まず服をとりにいかれた方が」
 まったくだ.ムロトは思った.声優がおそらく考えているように,最前指差した民家に服をとりにいくことができたならば,どれだけよかっただろう.
「いえ,少々急がなければならないもので」
「そんなに急いでどちらに?」
 ムロトは振り返らなかったが,声優の困惑した様子が手に取るようにわかった.ムロトはよどみなく答えた.
「トラブルに付き合わせてしまった友人を,助けに行くのです」なにか言いかけた声優を遮って,ムロトは続けた.「あなたが選んだ花婿どのは,きっと素晴らしい方だと思います.こんな様ではありますが,私が保証します.花婿どのは悪くない.悪いのはその友人です.機会があれば,そのトラブルに巻き込まれた友人とやらを叱りつけておやりなさい」
 言って,ムロトは駆け出した.結婚式には絶対出るまい,というか,二度と声優の前には現れるまい.ムロトは思った.俺のせいで,見ず知らずの黒タイツ一丁の男に結婚前の不安を吐露するほどに彼女は苦しんだのだ.「人間のクズ,社会のゴミ」と面罵されることに始まり,命をとられない限り,何をされても文句は言えまい.いや,むしろ潔く詫びに行くのが筋だろうか.そこまで考えて,ムロトは頭をふって雑念を払った.いや,そんなことより,今は一刻も早くカタギビルに向かわねば.すべてはそれからだ.
 再び駆け出したものの,まったく土地勘がないところにいることに気づいたムロトは焦った.警察権力との闘争の末,思えば遠くに来たものだ.ムロトは,大まかな方角だけを考えてとりあえず走ることにした.しかし,あたりはどんどん暗くなる.ムロトの焦りはつのった.と,前方に警察官の姿が見えた.ええい,ままよ.ムロトは警察官に向かって突進した.
「おまわりさん!道を教えてください!」
「ちょっと,あ」
「えっとですね,まず大まかな現在位置を教えていただきたいのです」
「いや,そのかっこ」
「それで,これから市街地の方に戻るところなんですけどね」
 ムロトは,とにかくこちらのペースに引き込む算段だったが,警察官はそんなやすい手には乗らなかった.
「とにかくね,ちょっと交番まで来て事情を聞かせてもらえませんか.怪我をされてるみたいですし」警察官は,静かに,優しくそう告げた.
 万事休すか.ムロトは天を仰いだ.空の紅はいよいよ失われ,夜の帳が降りようとしていた.かくなる上は,この警察官を振り切って,いまいち働かない勘を頼りにもう一度走り出す他ない.ムロトは足の裏でしっかりと地面を捉え,今にも振り返って逆方向に駆け出そうとした.そのとき,背後から聞き覚えのある声がした.
「こんなところで油を売っているとは.ずいぶん余裕じゃねえか,ムロトさんよお」
 振り返ると,強面の若い衆,カトウがにやにや笑いながら立っていた.前門の虎,後門の狼.ムロトは,思わず拳を固く握った.と,カトウはムロトを肩で押しのけ,警察官の前に立った.カトウは警察官の肩に手をかけた.
「おまわりさん,ちょっと道を尋ねたいんですがね」
「申し訳ないけど,ちょっとあとにしてくれませんか.このひ」
「そんなこと言わずに.すぐに済みますから」カトウの口調には,有無を言わせぬ迫力があった.
「わかりました.どちらに行かれるんですか?」警察官は,落ち着き払って尋ねた.
 カトウはカタギビルのある辺りの住所を告げ,警察官はそこまでの道筋を簡単に示した.ムロトは,カトウの後ろに立って,黙ってそのやりとりを見守った.
「なにぼさっと突っ立ってんだよ.用事があるんじゃないのか?」カトウは,警察官の方を向いたままで言った.
「カトウさん,あなたは」
「散歩中にちょっと慣れない道を通って迷っちまったからよ,おまわりさんに道を聞いただけだ」ムロトの言葉を遮って,カトウは言った.そっけない口調のなかに,どういうわけか温かさがあった.「さっさと行けよ.俺は,我ら善良なる市民の味方,優しいおまわりさんと積もる話があるからよ」カトウはいったん言葉を切った.ムロトが頷くと,カトウは背中でそれを見ていたかのように,右手をあげて応えた.「先に行けよ.すぐに追いつく」
 ムロトは,カトウに深々と頭を下げ,夕闇のなかを駆け出した.走るべき道が定まったためか,全身に力がみなぎってきたかのように感じられ,ペースはどんどんと上がっていった.と,疾走するムロトに並走するものがある.ムロトがそちらを見やると,それは真紅のロードレーサーを駆る,カタギビルの警備員だった.ヘルメットやレーサージャージにもフレームと同じ紅が効果的に使われおり,ロゴがアクセントになってなかなかきまっている.
「おや,奇遇ですね.ああ,それが例のカバーですか」警備員は笑顔でムロトに話しかけた.もっとも,サングラスのためにはっきりした表情は読み取れなかった.「カトウさんに勧められて,午後は年休をとりましてね.ちょっとそこいらをポタリングしていたところです」前方の信号が赤になり,ムロトと警備員は並んで止まった.「なんですが,うっかりしていて,職場に忘れ物をしましてね.今から取りに行くところなんですよ.途中までご一緒しましょう」
「そうですか.ありがとうございます.道連れがいるのは何かと心強いです」
「ははは,何をおっしゃる」
 なんでもない言葉を交わして,ムロトは気分が少し軽くなった.状況は決してよくないが,最後まで諦めないで走り抜こう.ムロトは決意を新たにした.
「社長は,車,バイク,自転車,各種交通機関を利用しないようにとおっしゃっていました」信号を睨みながら,警備員は呟いた.そして少しうつむいて,サングラスのブリッジに手をやりながら続けた.「でも,たまたま同じ方向に行く自転車の,スリップストリームを利用するなとは言っていません」
 信号が青に変わり,警備員が華麗なダンシングでムロトの前にでると,ムロトはすべてを理解した.ムロトはもはや道筋のことなど考えず,ただ警備員の後ろについて全力疾走することに意識を集中した.警備員は,時折振り返ってペースを調整した.ムロトは黒タイツの風となった.
 市街地に入ると,警備員はある信号待ちの間にムロトの横に来て告げた.
「ご一緒できるのはここまでです.ここから先は,諸々の交通規制の関係上,私と一緒に行くとかえってペースが落ちてしまうでしょうから」
 警備員は,遵法精神に溢れたサイクリストであるらしかった.向かいの信号が赤に変わると,警備員は,ムロトの方に拳を突き出した.ムロトは黙って拳を合わせた.オタクとオタクの間は,それでよかった.ムロトは,スポ根ものも嗜むオタクであった.
 進行方向の信号が青に変わり,ムロトは再び一人で駆け出した.カタギビルはもうすぐそこだったが,いよいよ陽は沈もうとしていた.
「ああ,ムロト様」幽霊のすすりなきとも聞きまがう不気味で微かで悲しげな声が,ムロトの背筋を這い上がった.もっとも,ムロトは幽霊になど会ったことはなかったので,これはただの喩えである.
「どちらさまですか?」ムロトは走りながら尋ねた.
「お恨み申します.タナカと申します.あなたのお友達サトウ様の部下でございます」タナカもムロトの後について走っているようだが,どうにも気配が希薄だった.「もう,おしまいでございます.一巻の終わりでございます.今更行っても,あの方を助けることはできません」
「いや,まだ陽は沈んでいません」
「ちょうどいま,テナント料の変更を定めた契約書にサインがなされるところです.ああ,あなたは遅かった.あと少し早かったなら!」
「いや,まだ陽は沈んでいません」
 ムロトは胸の張りさける思いで,通行人から注がれる冷たい視線に耐えた.とくに,子どもたちのつぶらな瞳とその保護者たちの刺すような視線が辛かった.しかし,走る他ない.
「もう,走るのはやめてください.諦めてください.いまはご自分が刑法一七四条にいかに抗弁するかを考える方が大事です.あの方は,あなたを信じておりました.屋上に引き出されても,平気でいました.カタギ氏が,エセ京都弁とエセ関西弁を織り交ぜてさんざん煽っても,ムロトくんは来ますよ,とだけ答え,強い信念を持ち続けている様子でございました」
「それだから,走るのです.信じられているから走るのです.間に合う,間に合わないは問題ではありません.刑法一七四条も問題ではないのです.私は,なんだか,この胸にこみあげるどうしようもなく熱いものの為に走っているのです.ついてきてください!タナカさん」
「なんだ,気でもふれたのか.実際風体もイカれているしな.せいぜい気の済むまで走って,刑法一七四条に抗った罰を受けるがいい!」
 タナカの,怨霊然とした突然のマジギレは,ほとんどムロトの耳には入っていなかった.まだ陽は沈んでいないのだ.最後の死力を尽くして,ムロトは走った.正面玄関を破らんばかりの勢いでカタギビルに突っ込むと,エレベーターは点検中であった.ムロトは血走った目で屋上に続く経路を探し,非常階段につづくドアを蹴り飛ばすと,階段を駆け上がった.長距離を走った後の登りは,ムロトの膝を砕き,心臓を破り,意識を月まで吹き飛ばした.しかし,ムロトは止まらなかった.陽が山際に没し,まさに最後の一片の残光も,消えようとした時,ムロトはSWATばりの迷いのなさで屋上に突入した.間に合った.
「待ってください.その契約書にサインしてはなりません.ムロトが帰ってきた.約束のとおり,いま,帰ってきた」
 屋上に響き渡る大声で叫んだつもりだったが,誰一人としてムロトの存在に気づかなかった.そこで,ムロトは卓上のペンを奪ってムシャムシャし,今日一日苦楽をともにした額を屋上の縁にそっと立てかけた.かくして,契約書は破り捨てられたのである.
「サトウくん」ムロトは目に涙を浮かべて言った.「私を殴れ.ちからいっぱいに頬を殴れ.ぶっちゃけ,端からテナント料を一〇〇〇倍にして君を破滅させるつもりだったのだ.君がもし私を殴ってくれなかったら,私は君の友人でいることができない」
 サトウは,すべてを察した様子で頷き,あらん限りの殺意をこめ,一〇〇km四方の死人も飛び起きるほど音高くムロトの頬を殴った.当然である.殴ってから,ムロトに優しく微笑みかけて言った.
「ムロトくん,僕を殴れ.正味の話,この抱き枕カバーを久しぶりにどうしても見たくて,でもオタクっぽさを出すのが嫌で,素知らぬ顔で人質を引き受けたんだ.君が僕を殴ってくれなければ,僕は君の友人でいることができない」
 ムロトは,腕で一陣の風を巻き起こしながら音高くサトウの頬を殴った.が,サトウの頬に触れたムロトの右手は,撫でるように優しかった.ムロトは,ボイスパーカッションに秀でたオタクでもあった.サトウの頬を涙が伝い,ムロトは笑顔で頷いた.「ありがとう,友よ」二人同時に言ってひしと抱き合ったが,その刹那,二人は我に返って苦笑いを交わした.
 どう考えても堅気ではないカタギは,二人の様子をまじまじと見ていたが,やがて静かに二人に近づき,顔を赤らめてこう言った.「正直すまんかった.なんや大事にしてしもたけど,カトウの希望という体にして,実のところ自分がこの抱き枕カバーをどうしても見たかっただけなんや.これが証拠や」カタギが上着を脱ぎ捨てると,抱き枕カバーに描かれたキャラクターがTシャツのうえで微笑んでいた.「仲間にいれてくれはらへんやろか.」カタギは恥ずかしそうに,囁くように言った.
 感極まって,ムロトは歓声をあげた.「万歳,オタク万歳!」
 いつの間にか,かの声優がカトウに伴われ,三人のそばに立っていた.例の警備員も一緒だ.声優は,大きなゴミ袋をムロトに差し出した.大きなゴミ袋は,旅行の際にいくつか持っておくと何かと便利なアイテムだ.佳き友は,気をきかせて教えてやった.
「ムロトくん,君はほとんど全裸じゃないか.早くそのゴミ袋を穿きなよ.我が愛しの花嫁は,思い入れのあるキャラクターの前で,君にそんな破廉恥な格好をされるのが,たまらなく悔しいんだよ」サトウは,気がききすぎるきらいが無きにしも非ずだった.「あと,お前は人間のクズで社会のゴミだ,ゴミ袋にでも入ってろ,みたいな意味は込められていないと思うよ,多分」
 勇者は,色を失った.

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